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PAT METHENY & RON CARTER with JOE DYSON

artist PAT METHENY , RON CARTER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

1月14日の札幌公演から始まった"PAT METHENY Dream Box Solo Tour"が大反響を呼んでいるパット・メセニーが、5年ぶりとなるブルーノート東京でのロングラン公演を23日から開催しています。28日まではロン・カーター(ベース)とジョー・ダイソン(ドラムス:パットのグループ"サイド・アイ"のメンバーでもあります)とのトリオで登場、30日から2月4日にかけては"PAT METHENY Dream Box Solo Tour"の東京公演が行われる予定です。

私はトリオ公演の初日ファースト・セットに足を運びました。すでに海外の大型フェスティバルで共演を果たしているパットとロンですが、ジャズ・クラブでのパフォーマンスは世界的に希少。客席は幅広い世代で超満員です。ジョーを含めた全員がジャケットを着用し、椅子に座って演奏します。曲紹介などのMCはなく、ギター・シンセサイザーは用意されていましたが、このファースト・セットで演奏されることはありませんでした。レパートリーは「Autumn Leaves」、「All The Things You Are」、「Someday My Prince Will Come」などに加え、ロンが在籍した"黄金の60年代マイルス・デイヴィス・クインテット"が名演を残す「Seven Steps To Heaven」や「81」、さらにパットとロン両名と深い縁のある伝説の名匠、ジム・ホールの十八番であった「St.Thomas」など。パットがこれほど集中的にカヴァー曲をプレイする機会は多くないでしょうし、私は"この曲にこんなフレーズを織り込むのか"、"単音とコード(和音)の混ぜ方がすごくスリリングだな"など、目の覚めるようなスタンダード解釈の連続に、あらためて彼のジャズ・ギタリストとしての底力を知り、「新鮮に、かっこよく響くスタンダード解釈」のレクチャーを音そのものによって受けた気持ちにもなりました。

前述のジム・ホールはもちろん、ウェス・モンゴメリー、ガボール・サボ、アッティラ・ゾラ―、ビル・フリゼールら幾多のギタリストの作品に貢献してきたロンも実に嬉しそうにベースを奏で、「You Are My Sunshine」ではまったくのソロ・パフォーマンスを展開。弦をつまびくだけではなく、楽器の"ストップ長"の指板寄りのところをこすってブラッシュ・ワークのような音を出したり、エンディング近くではこよなく尊敬するJ.S.バッハの楽曲「無伴奏チェロ組曲 第1番 プレリュード」のフレーズを挿入したりと、まさに自由自在でした。

1950年代生まれのパット、30年代生まれのロン、90年代生まれのジョーが紡ぎ出す芳醇なモダン・ジャズの世界。アドリブのスリルと、格調の高さが一体となったひとときを、じっくりとお楽しみください。
(原田 2024 1.24)

Photo by Takuo Sato

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【LIVE INFORMATION】

PAT METHENY & RON CARTER
with JOE DYSON
2024 1.23 tue., 1.24 wed., 1.25 thu., 1.26 fri., 1.27 sat., 1.28 sun. ブルーノート東京
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PAT METHENY
Dream Box Solo Tour
2024 1.30 tue., 1.31 wed., 2.1 thu., 2.2 fri., 2.3 sat., 2.4 sun. ブルーノート東京
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